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ゾロアスター教入門(11)

岡田 明憲 横浜朝日カルチャー講義報告

神秘思想を読み解く1

時:201311月9

 

 『ヨーガ・ヴァーシシュタ』について

 岡田代表がシリーズ「神秘思想を読み解く」で、神秘思想を扱った古典を順次紹介されていくというので、第1回目から期待が高まった。第1回目は、長編宗教書『ヨーガ・ヴァーシシュタ』である。原書は大部の厚さがあって本邦未訳であるが、今回は岡田代表により原書から重要な箇所を紹介して頂く貴重な機会であった。

 

 インドには古典の二大叙事詩といわれる『ラーマーヤナ』と『マハーバーラタ』があるが、これはヒンドゥー教の二大聖典である。しかし、『マハーバーラタ』には『バガヴァッド・ギーター』のように宗教書として優れた名篇があるが、『ラーマーヤナ』にはないというので、それを補うものとして9世紀に編纂されたのが古代のヴァシシュタ仙人がラーマ王子に語るという形式の『ヨーガ・ヴァーシシュタ』である。

 哲学を重視するインドならではの伝統にのっとり、人生を真に満足して生きるための教えを説くヴァシシュタ仙人の言葉を集大成した書物であるが、最初の場面は、ラーマ王子が知識を求め賢者を探す旅をした後で、鬱状態になって王宮に戻ってくるところからである。これは、書物を漁り、知識を蓄え、それでも満足できずに悩み続ける現代の若者にも一脈通じるものがありそうである。ヴァシシュタ仙人の教えは、離欲(この他に解脱、創造、維持、寂静、涅槃に分けられている)から始まる。単に欲を捨てるというのではなく、この世で真の価値あるもの、真理を探せ、というのである。

 鬱状態とは、幻の中の自分に対象を求めているのであると、岡田代表は説かれる。悩みは心の罠であり、心が幻想を産み出す、というのである。もともとインドの歴史観は壮大な宇宙論であり、最終的には全宇宙は塵になるともいう。だが、それを認識した上で、認識する自分の心が幻を創り出し、全てのものが現象として存在するのだ、ということを悟ることが肝要である。その限界を超越すれば、真の自分が見えてくる。真の救済は、お経や修行にあるのではない。心の虚空と自分が一体になること、それが霊智であり、それは、グルによって開かれる心境である。解脱を求め真我を知れば、人間関係も変化し、運命も変わってくる、という。

 

 インドの古典思想が少し親しみを持って感じられた講義であった。

  (佐々木・記)

 

 

 

 

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