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ゾロアスター教入門

 

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ゾロアスター教入門(12)

 

 岡田代表講義報告

鳥葬について

 

 現代ゾロアスター教徒は、必ずしも鳥葬を行っているわけではない。これは社会的、環境的事情だけでなく、儀礼の形骸化、そしてなにより教徒による鳥葬理解の稚拙さにある。彼らは鳥葬を行う意義に付いて、肉体を捧げることで最後の奉仕となり、衛生的であり、神の創造した自然のエレメントを汚さない方法であるからとしている。ではなぜ鳥葬なのか。なぜあのような巨大な建造物を必要としているのか。今回の講義で教徒も忘れている、ゾロアスター教が鳥葬であるべき本来の意義が示された。その内容を下記に要約する。 

 鳥葬には様々なゾロアスター教の教義が反映されているが、教徒自身もこれらを忘れているのが現状である。その内の重要な部分をご紹介する。まずは臨終間際に飲ませるというハオマである。これはあの世へ魂を導く神霊に関係している。死者の魂は導かれてあの世へ行くことにより不滅となるが、そのためにはハオマをすりつぶして飲むように、一度、犠牲にならなければ(すり潰されなければ)ならない。これがゾロアスター教的死の意味である。

 次に葬式で唱えられるスラオシャの祈りにも、重要な意義がある。スラオシャは聖職者の守護霊とされており、また死後の審判を司る神霊でもある。スラオシャの祈りを捧げることは、死者が無事、スラオシャの審判を受け、天国に赴くよう祈るだけではない。スラオシャが守護する二人の聖職者がこれを唱えることで、精神世界と物質世界の両側から、死者がこの世とあの世の危険な領域にある境界を無事、渡るために守っているのである。

 そして死後の審判を行う太陽の子ヤマのお使いである犬に検視をさせる儀礼は、太陽の目に死者を曝し、浄化することと関係している。そうすることで死者は、太陽の世界、つまり光に満ちた世界に導かれて行くのである。本来、これがゾロアスター教の葬儀の原型であった。

 最後に鳥葬を行う塔について。死者は鳥葬の塔に入れられる際、古いスドラを着せられるものとされている。これは、人はこの世のものは、スドラの疑似ポケットであるギーレバーンに貯めた徳以外、あの世に何も持って行けないことを表わしている。そして塔の構造であるが、これはゾロアスター教のコスモロジーを反映している。塔の建設過程それ自体が創造と終末を現しており、その型は、ゾロアスター教の神話世界の構造と一致するのである。ゾロアスター教において鳥葬を行うことは、世界が転回した最初の点、つまりゾロアスター教徒たちにとっての永遠の場所に戻って行くということなのである。

(香月・記)

町田 2013113

 

 

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