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ゾロアスター教入門 |
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ゾロアスター教入門(14) 岡田 明憲 朝日カルチャー講義報告 神秘思想を読み解く —不二成就の教え— 時:2014年5月10日
今回の講義は、インドにおける女性宗教家ラクシュミーンカラーの紹介ということであったが、密教各派の時代的流れについても詳しい説明があったため、歴史的な理解も深まり有意義であった。
インドにおける密教はその発展時期によって初期・中期・後期と分けられる。初期密教は雑密として日本へも空海以前に既に伝来していた。平安時代に中期密教が空海等により広められ、盛んになった。日本では密教は真言宗や天台宗を通して、広く受け入れられ、後世にも大きい影響を及ぼした。 ただ、インドでは密教はさらに発展し、イスラム教による寺院の破壊などの後でも、ベンガル地方やネパールで独自の形態で発展していった。タントラ密教として知られているチベット密教は、父や母の両タントラや時輪タントラなどが知られている。 ベンガル地方の密教は、後世まで影響を及ぼした。そうした後期密教の宗派に一人の女性宗教者がいた。名前をラクシュミーンカラーといい、その名はチベットにも伝わって『成就者伝』にも記載されている。 ラクシュミーンカラーの誕生はベンガルとか西北インド等といわれているが、カンバラという密教の行者について修行し、倶生乗を授かる。その教えは徹底してあらゆるものへの執着を退けたものであった。彼女は、スリランカ王と結婚するが、そこで王を弟子として教えを授けたという。 ラクシュミーンカラーの教えは、本性のままに人と接することで、あらゆる男性女性を尊重し、しかも促われない生き方の中に、最終的な悟りを見出すことを説くものであった。ラクシュミーンカラーは『不二成就』(アドヴァヤ・シッディ)という著書を残したが、そこには宗教的儀式や伝統的慣習よりも真理を悟ることが大事であるという思想が説かれている。
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